日本舞踊藤間流師範 藤間京三喜のページ

　　　◎粋（イキ）

　　　　　　　（１）気持ちや身なりがさっぱりと垢抜けていて、しかも色気を持っている事

　　　　　　　　　　　　　　例・粋な着こなし

　　　　　　　（２）人情の表裏に通じている事

　　　　　　　　　　　　　　例・粋なはからい

　　　◎粋（スイ）

　　　　　　　（１）まじり気の無い事～・純粋・生粋・粋美

　　　　　　　（２）優れたもの　　　　～・粋を集める・抜粋・精粋

　　　辞書などからは、上記のような解釈がなされていますが、生まれつきのものばかりではなく、また学歴、学問から
　　　得られるものでもなく、個々の体験の中で磨かれ身についてくる魅力ではないでしょうか？

中国は北京生まれの天津育ち、激動の昭和60年を経て今も多忙な日々を送っていますのに、何十年経っても大陸的な老女と云われます。追々と幼児化が進んでいるのでしょうか？御多分に洩れず戦後多難な運命の波に揺られて後、病床にあった母の乞いにより72歳で再婚。３組の子供夫婦と7人の孫が居りましたが、今は孫嫁とひこ孫二人にも恵まれました。

クリーンペット退職後、縁あって御仲間と日本伝統文化教室をたちあげ今日に至っております。昨年末病から九死に一生を得まして、感謝と同時に己の限界も知らされましたので、本年度より第一線から身を引かさせて頂く事に成りました。今後は若手の方々の御活躍の為に、潤滑油にでもなれれば幸甚とねがっております。

　　二つのお別れ（於ける天津）

・幼い頃の事・
　　隣の三人兄弟と共に日曜学校に行ったり毎日楽しく遊んでいた小学校一年の或る日、名前は忘れてしま
　　いましたが弟の様に思っていた数え年5歳の元気ないたずらっ子が急逝しました。私は泣いて泣いて泣き
　　じゃくって「○○ちゃんは天国に行けるの？」と周りの人に問いかけました。賢明なある大人が「五つ
　　までに死んだ子供はみんな天国に行けるんだよ」と云ってくれました。おかげで私はどれほど救われた
　　事でしょう。

　・日中事変・　　　
　　　昭和12年の8月の或る日の夜明け10歳9カ月の私は、いり豆のはぜるような音に目覚めさせられました。
　　それは海軍陸戦隊による市街戦の発砲の音でした。中国天津市の街は急にあわただしくなり、まもなく
　　我が家にも輜重兵の方々が分宿、外で馬と一緒に寝ますという優しい兵隊さんに心打たれながらも強い
　　て室内に泊まって頂きました。今想いますと真新しい軍服も板に付かない極めて若い兵隊さんだったよ
　　うです。翌朝、見えなくなるまで手ふって御見送りしました。しかるに何と、翌々日には通州にて全滅
　　の悲報が入りました。何故？　どうして？やり場のない悲しみと怒り、子供には到底理解し難い無常感
　　におそわれた事を今でも忘れる事が出来ません。その後、語るに忍びない経験を致しましたが、中国は
　　生れ故郷、日本は母国、時代の波に流されて亡くなられた方々が天国に行けます様にと切に祈るだけで
　　した。

・その後・
　　　その後も身近な者の急逝に遭ってしまいました。父も夫もそして一人子まで・・・それらの出来事は私の人格形成
　　　上に大きな影響を与え、何時御別れが来るかわからない云う不安感から、云いたい事も云えなくなった時期が
　　　御座いました。

　　　 2012/3/10

「少年兵シベリヤに生きる」
偶然にも天津の商業学校卒と云う、私よりも一つお若い方の＜終戦後６０年＞の自伝です。その方は僅か
１８歳にして過酷な運命を強いられ、帰還後の御苦労も一入と推察致しました。「兵士達の屍は、人知れずシベリヤの大地に眠って居ます。鎮魂の思いで此れを書きます」と序章を結んでおられましたが、戦中の体験談を語る事に躊躇しがちな人も多い中、発表された勇気に感動しながら、何度も息の詰まる思いで読ませて頂きました。また、今日まで生きながらえている事がどんなに恵まれた事か改めて知らされました。

「今思うこと」
８５歳まで生きながらえさせて頂いた恩恵に感謝しています。恩恵の陰には犠牲を払って下さった方々や、少なくとも潤滑油的な働きをして下さった方々が、身に余るほど居られた事をこの年齢になって自覚させて頂きました。このままでは、上記の如く天寿を全うできないまま召された皆様に申し訳ない気持ちです。今日まで、色々の方々に支えられ助けられて参りました。亦、赤面したくなるほどの失敗や御迷惑を周囲の方々にお掛けして来ました。他に自覚出来ないものも多々御座いましょう。余命は神のみが御存じですが、私としては感謝と御詫び意味をこめて、少しでも人様の御役に立てる様な余生を送らせて頂ければ幸甚と願っている作今です。

（株）クリーンペットは、栃木県足利市において、昭和５３年（１９７９年）にトイレ用品のレンタル専門店
　として設立されました。 設立者は佐藤満喜子です。（大正15年生れ当時満51歳）

　その頃のトイレは、いわゆる“３Ｋ”と云われる程、臭い・きたない・暗いトイレが多く、最も衛生に重点
　を置いてほしいと願って居ました水洗トイレ設置の病院のさえ、小便器の排水管のつまりや、汚物処理の
　悪臭が強く、例外ではありませんでした。

　そんななか、佐藤満喜子は、“トイレをさわやかに”を、キャチフレーズに、病院、ホテル、デパート、
　ゴルフ場などに、トイレ防臭メンテナンスを勧め、悪臭除去後業務用芳香剤をレンタルして参りました。
　当店の活動が産経や地方新聞等にも取り上げられ、御蔭さまでまずまずのスタートをすることでができまし
　たが、当時のトイレは設備も悪く、特に小便器は、ほとんど、あさがお型、旧ストール型が主流でした。
　どちらの小便器もつまりやすく、ドライバーとか金槌を使って、小便器のスケールを除去しなければ成ら
　ないほどでした。
　以後、防臭作業方法等の研究の結果、ある程度トイレの悪臭を取り除く事が出来るようになり、多くのお客
　様の御愛顧をいただきながら、当店独自のトイレ防臭メンテナンスの基礎を創り上げる事ができるように
　なりました。
　その後、尿石除去専用の薬剤や、ほんものの消臭剤に出会うことになります。１９８４年ごろ、トイレメ
　ンテナンス専門店として事業展開を願って、何かいい商品はないか探していました
　折も折、隣接の太田市の御取引先の総合病院で臭いを無臭にする消臭剤を使用する事にとなったのでと
　キャンセルされました。伺うところに依りますと院長の御友人の開発に成る物とのこと。

　早速御紹介頂き製造元（株）山装（ヤマソー）にお邪魔して、不躾にも種々御説明頂きました。“消臭剤
　ダモセントリー”という名称で製造を開始したばかりで、主な納品先は、船会社、病院、東京都（ゴミ用）
　などとの事でした。
　木材から抽出した森林浴効果を感じる良質な製品に感動し、当店も消臭剤を取り扱いさせていただきたい
　旨お願いしましたところ、快く販売代理店として発足させて頂きました。

　のみならず「どんな物が欲しいのか」とおっしゃって私共の為に大金を投じて希望の品物を制作して下さ
　いました。
　その御好意に依り、メンテナンス用と販売用消臭剤の取り扱いを開始する事になりました。
　しかし、新しい消臭剤なので営業は大変でしたが、芳香剤が苦手なお客様には好評でした。その後（株）
　山装（ヤマソー）さんの御好意に依り、無臭のメンテナンス用ゲルの共同開発が実現しました。

　トイレの改善著しい今日もダモセントリーは健在で、感謝の一言有るのみです。

2012年・記・佐藤満喜子　　（現役引退、現在グループ「粋いき」代表世話人・満85歳）